日本における保育カリキュラム―歴史と課題―

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    日本における保育カリキュラム―歴史と課題―
    (にほんにおけるほいくかりきゅらむ:れきしとかだい)
    著者:宍戸健夫 著
    出版社:新読書社
    出版年:2017/7/19
    ISBN:978-4-7880-2120-4
    判型:A5判並製
    頁数:304頁

    保育所保育指針、幼稚園教育要領、こども園教育・保育要領の改訂の中で出される注目の書。子ども一人ひとりが、生活や発達に即して成長していくことを願い、取り組んできた保育活動の全体的な計画。

    保育カリキュラムは、子ども一人ひとりが、その生活や発達に即して、将来にむけて健やかに成長していくことを願い、とりくむ、保育活動の全体的な計画である。
    それは「絵にかいた餅」のように飾っておけばいいというものではなく、保育実践の指針となるものであり、保育実践の質を左右するものである。

    【目次】
    はじめに

    序章 日本における保育カリキュラム
    一 歴史的研究と実践的研究―「作業仮説」としての保育カリキュラム
    二 保育カリキュラムとは何か
    三 保育カリキュラムの三つの歴史的潮流
     1 課業活動(設定保育) を軸とするカリキュラム
     2 遊びとその発展を軸とするカリキュラム
     3 集団生活の発展を軸とするカリキュラム
    四 もう―つの新しい潮流―プロジェクト型保育カリキュラム
    五 保育カリキュラムの構造化を考える

    第一章 日本における保育カリキュラムの誕生
    はじめに
    一 日本における保育カリキュラムの出発
     1 幼稚園の創設と保育カリキュラム
     2 保育カリキュラム改革への動向―倉橋惣三を中心に
    二 日本におけるプロジェクト・メソッドによる保育実践の展開―東京女高師附属幼稚園での保育実践
     1 1920年代の東京女高師附属幼稚園での保育実践
     2 1930年代の保育実践ー根づいたプロジェクト・メソッド
     実践記録・菊池ふじの「人形のお家を中心として」(概略)
     実践記録・徳久孝子「わたし達の自動車」(概略)
    三 『系統的保育案』の完成?「誘導保育案」を主軸とする保育カリキュラムの構築
     はじめに
     「系統的保育案」とは何かーその性格について
     『系統的保育案』の構成
     『系統的保育案』を構成する各欄の相互の関連
     『系統的保育案』は定製化するものではない
    四 『系統的保育案』の意義と限界
     1 『系統的保育案』は構造的保育案のさきがけ
     2 構造化された3層の関連について
     3 「誘導保育案」と保育5項目
     4 話しあい(相談) 活動について
     5 子どもたちの協力関係1個人と集団について
    おわりに

    第二章 保育問題研究会と「保育案」の研究
    はじめに―保育問題研究会の発足
    一 保育案の研究
    二 城戸幡太郎の保育案
     1 城戸理論と自己中心性
     2 遊びの生活化、技術化、芸術化
    三 保育案と保育実践
     1 困った子供の問題
     2 社会的訓練を主題とした実践―「片付け」と「当番」
     3 劇あそびの実践
    四 保育問題研究会の保育案を考える
     1 保問研の保育案の指導原理
     2 保育項目(生活教材)と生活訓練
     3 保育主題と遊び
    おわりにー戦後への課題

    第三章 戦後保育カリキュラムの展開―和光幼稚園を中心に
    はじめに
    一 コア・カリキュラム連盟の結成と3層4領域論
     1 コア・カリキュラム連盟の結成
     2 3層4領域論
    二 和光幼稚園におけるカリキュラム研究と実践1和
     1 和光学園と和光幼稚園
     2 和光幼稚園のカリキュラム
    三 久保田浩のカリキュラム論
     1 久保田の教育カリキュラムの原点
     2 「基底となる生活」ー幼稚園カリキュラムの土台
     3 「中心になる活動」と「領域別活動」
     4 構造的な保育カリキュラム
    四 「のりものごっこ」の保育実践―小松福三の場合
     1 小松福三の歩み
     2 「のりものごっこ」のはじまり
     3 「のりものごっこ」の定着
     4 「のりものごっこ」の意義
    おわりに
    〔補論〕和光学園における幼稚園・小学校の連携―プロジェクト活動を中心に

    第四章 集団生活の発展を軸とする保育
    一 戦後3冊の実践記録
     1 戦後の保育実践のスタートをきった岸和子『幼児時代』
     2 集団生活の発展に着目した海卓子『幼児の生活と教育』
     3 一人ひとりの要求をみんなの要求に―畑谷光代『つたえあい保育の誕生』
     4 岸、海、畑谷の実践記録の共通点
    二 集団生活の発展を軸とする保育カリキュラム―三木安正『年間保育計画』
     1 三木安正と『年間保育計画』
     2 集団生活の発展の大筋を探る
    三 2年間の保育を6期とした大場牧夫『幼児の生活とカリキュラム』
    四 丸尾ふさの集団指導計画論
     1 集団生活の4階段
     2 時期区分の柔軟性
     3 協同活動の組織化
    五 集団生活の発展を軸とする保育の意義

    第五章 プロジェクト活動と保育カリキュラム
    一 日本におけるプロジェクト活動の展開
     はじめに―日本におけるプロジェクト活動
     1 中津川(恵那)の教育と保育実践―池づくりから畑づくりへ
     2 さくら•さくらんほ保育園の実践―自然とのかかわりと表現文化の創造
     3 幼児に土と太陽を―安部幼稚園の場合
     4 恵那、埼玉、横浜の保育実践から学ぶもの
    二 プロジェクト型の保育カリキュラムを国際的な比較を通して考える
     1 プロジェクト活動とは何か―レッジョ・エミリアの場合
     2 日本におけるプロジェクト型の保育カリキュラムを考える―安部幼稚園の場合
     3 レッジョ・エミリアと安部幼稚園の保育カリキュラムを比較する

    終章 改めて保育カリキュラムとは何かを考える―まとめとして
     1 保育構造にもとづく保育カリキュラムの編成
     2 話しあいの保育過程
     3 「主題」を中心とする保育過程の展開
     4 プロジェクト活動は協同的活動
     5 おわりにひとこと

    あとがきー本書の構成と初出について
    索引
    参考文献一覧(本書とかかわる保育史および保育カリキュラム関係を主とする)